学年便り
学年より
7月30日(水)、第1学年の進路行事として東北大学のオープンキャンパスに参加してきました。
青葉山公園仙臺緑彩館公園駐車場にバスが到着し、政宗像を見ながら、徒歩で、東北大学の萩ホール前のシャトル乗り場に移動した後は、各自、希望のキャンパスに分かれ学部・学科見学です。
新しくなった農学部の新青葉山キャンパスです。施設も充実しています。関心の高い本校生は、植物生命科学や海洋生物科学コースのパネル展示の内容をメモに記録していました。
工学部や理学部キャンパス前にも、本校の男子生徒が沢山いました。
薬学部となると、男女比はほぼ同数。キャンパス内には薬草園もありました。
川内キャンパスは、文学部・経済学部・法学部・教育学部の文系学部から成ります。模擬講義や研究室訪問など、公開形式も理系とは若干違っていました。
自分の関心のある分野を見つけることが出来たでしょうか。はたまた、上級学校を目指す刺激になったでしょうか。これからの夏休みの過ごし方に期待したいところです。
令和3年度から地域課題探究として始めた『浜通りへ行こう!』は、今年度で5回目を迎えました。今回は、毎回お馴染みの「東日本大震災・原子力災害伝承館」の見学・「語り部」講話に加え、「請戸浜」の見学や「福島第一原子力発電所」・「廃炉資料館」の視察をプログラムに盛り込みました。
7月24日(木)、まずは東京電力廃炉資料館に向かいました。「資料館」は、元々は、福島第二原子力発電所をPRする目的で建設された「エネルギー館」でしたが、原発事故後、その記憶と記録を残し、反省と教訓を社内外に伝えるために、東京電力が設置した施設です。エントランスの壁には、「私たちは、事故の反省と教訓を決して忘れることなく後世に残し、廃炉と復興をやり通す覚悟をもって東京電力廃炉資料館を運営してまいります」と、東京電力社長の言葉が刻まれていました。
原発事故や廃炉に関する展示を見学した後、筆記用具以外のあらゆるものを資料館に置いて、線量計を身に付け、金属探知機をくぐり、警備員の方が同行する厳重な警戒のもとで、「1F(イチエフ)」こと「東京電力福島第一原子力発電所」に入構しました。
構内では、燃料デブリの取り出しや汚染水の処理方法について説明を聞きました。廃炉作業は40年の期間を要するとされていますが、作業は困難を極め、既にスケジュールに遅れも生じており、真の意味での復興の難しさを感じました。
原子炉建屋が見えてくると、併せて太平洋の海も視界に入ってきました。非常用電源車が高台に置かれていれば…、防潮堤があと10m高ければ…、私たちがもっと原子力発電やエネルギーについて関心を持っていれば…、悔やまれます。1号機後方の高台のデッキ上から爆発の爪痕を残す原子炉建屋の解体状況を見た時には、14年前のあの時の記憶が蘇ってきました。そして、強い日差しと高温の中、建屋の周りで防護服に身を包み作業に当たる方々の姿を見た時には、本当に頭の下がる思いでした。「ありがとうございます」
約1時間の帰還困難区域での通算被曝線量は、私の線量計では0.1μシーベルトでした。帰還困難区域を除けば、双葉郡の町村のほとんどの地域が、郡山市とさほど変わらない空間線量です。しかし、「安全」と『安心』は似ているようで異なり、まだ多くの住民の方々が戻ってきてはいません。双葉町の場合、震災前に7000人だった人口は2025年4月現在で居住者180人ほどになってしまいました。バスの車中から見えるバリケードの奥の民家を見ると、胸が痛みます。
昨年見学した震災遺構「請戸小学校」の外観を確認し、そのすぐ目の前にある請戸浜で、小学校を襲った太平洋を一望しました。普段は穏やかなこの海が、まさか…と感じました。しばらくすると、2名の警察官の方が道具を抱えて、高く仕立て直された防潮堤から浜に降りてこられました。お聞きすると、三重県警と岐阜県警から特別出向されている「ウルトラ警察隊」の方で、毎日、行方不明者の捜索に当たっているそうです。「暑い中大変ですね」と声をかけると、「人の役に立ちたいと思い警察官になったわけですからなんでもありません。今日も、まだ家族に再会できない方々のためになんとか探し出したいと思います」。またまた、頭の下がる思いです。本当に、この福島は、いろんな人に支えられています。
伝承館は、東日本大震災と津波に伴う原子力災害を後世に伝えることを目的として2020年に開館しました。エントランスホールのナレーションで、故西田敏行さんが「復興はまだまだ道半ば、生きてるうちに見届けられっかどうか。無理かもしれねえな」と情感たっぷりに語っていらっしゃったのが印象的でした。展示コーナーには、発災前の地域像やその後の避難生活を示す資料約30万点が展示されており、生徒たちはボランティアスタッフの方の説明に真剣に耳を傾けていました。
最後のプログラムは、「語り部」講話です。今回、講師をお引き受けいただいたのは、伝承館職員の遠藤未來さんです。遠藤さんは、被災当時小学校4年生。しばらくの間、東京で避難生活を送り、地元の高校での探究活動を通して、自らも地域に貢献したいと強く願うようになり、伝承館への就職を決意したとのことでした。
等身大の話を聞くことが出来たからだと思います。ここでも、参加生徒から遠藤さんにたくさんの質問が投げかけられました。あらためまして「ありがとうございます」
予定していたプログラムはすべて終わり、振り返りのワークショップです。今回は、自らも「プチ語り部」として発信してもらうことにしました。まずは、今日一日の感想をお互いに共有しました。その後、一人一人「プチ語り部」動画を撮影しました。いずれ公開したいと思います。
参加生徒の事後アンケートの結果と感想です。『浜通りに行こう!2025~福島第一原子力発電所視察と「語り部」講話~』事後アンケート集計結果.pdf
「今回のプログラムに参加して、『知っているつもり』だった震災や原発事故の現実が、自分の中で大きく変わったと感じた。」
「改めてこの震災は風化させては行けないものだと思いました。そして今回体験したことを将来生かせたらいいなと思いました。」
「沢山の人が復興のために努力している姿やこれからの福島を大切にしていきたいという姿がこのプログラムに参加してわかりました。自分自身も福島の魅力をたくさんの人に伝えるお手伝いをしたいととても思いました。」
「今現在福島は復興に向けて着実に足を進めていることがよくわかった。見学したことを忘れずにいろんな人たちへ伝えていきたい。」
「今回プログラムに参加して、より多くの人に東日本大震災や福島の復興について知ってもらいたいと思いました。今回、私がたくさんの人に伝えて貰ったように自分も誰かに伝えていける1人になりたいと感じました。」
「原発事故や東日本大震災のことを知らなすぎるが故に他人事として捉えてしまっていたが、自分の目で現状や当時の状況を理解することで自分の認識の甘さを感じた。また、廃炉に関する研究に少し興味を持ったので、より調べて見たいと思った。」
「私は浜通りの各市町村や帰還困難区域の周辺に今まで何度か来たことがあり、その時見えた民家が妙に印象に残っていて、その記憶を確認したい気持ちや、チェルノブイリに関連する知識欲のために、今回の視察に参加しました。工事の規模や事故と津波のかなり詳細な情報を公開していることに驚き、原子炉の大きさに圧倒され、自分の中の凝り固まった人も建物もない閉鎖的ないわきのイメージが刷新されました。またバスの中で新聞の切り抜きのファイルを拝見させて頂き、世の中には震災で大きな影響を受けた人がいて、現状を変えようとした人が存在したのだということを実感しました。自分が今まで知っていた情報がどれだけ断片的で、現実に即していないか思い知ることができて本当に良かったです。今回のプログラムを企画していただいた先生や東京電力の職員の方々には感謝しています。ありがとうございました。」
「今回のプログラムを通して、震災や原発事故は『過去の出来事』ではなく、今も続いている問題であることに気づきました。」
「特に、東京電力福島第一原子力発電所の視察では、廃炉に向けた作業が何十年もかかるという現実に衝撃を受けました。また、語り部の方のお話から、東日本大震災を忘れてはいけないなと改めて思いました。」
「今後、私たちが震災について学び続ける責任があると感じました。」
「私たちに説明や体験談を話してくれた人たちは私たちにその意思を継いでほしと思って話していたと思います。だから私たちがその意思を継ぎ、まずは身近な人たちに私の聞いたことや体験した出来事を話していきたいと思っています。そして将来的にたくさんの活動に参加して私たちの次の世代へ意思を継いでいきたいと思います。」
「大したことにはならないという油断が、事態を悪化させてしまうということを講演の講師の先生のお話や語り部講話などから感じました。」
「震災については前から知っていましたが、今回の研修を通して改めて自分はまだまだ知らないことが多かったと感じました。」
6月13日(金)、永遠璃・マリールイズさん(NPO法人ルワンダの教育を考える会の理事長)を講師としてお招きし、国際理解講座「学びと命の大切さ~ルワンダ・日本の経験を踏まえて~」を開催しました.
マリールイズさんは1994年のルワンダ大虐殺の悲劇を体験しました。爆弾が飛び交う状況の中、3人の幼い子どもを引き連れ奇跡的に生還し、日本へ移住することができました。講演の中でも、「戦争の中で痛いほどに感じたことは『教育は平和と発展の鍵』ということ。命さえあれば希望を持てる…教育を受けていれば、その人らしく人生を歩める」と語ってらっしゃいました。
講演後、生徒たちから質問の挙手がたくさん上がり、その回答の中で、実はマリールイーズさん自身もお兄さんや親戚の方々を亡くされ、今はルワンダでの学校作りに取り組んでいることなども明かされました。
予定時間が過ぎ、質問は打ち切られましたが、放課後に設定された応接室での懇談会にもたくさんの生徒が集まり、悲劇の実相について深く尋ねたり、民族衣装の着方を教わったりしていました。
6月6日(金)の定期考査終了後、地域課題探究の一環として出前講座『福島の復興と今後のエネルギー供給のあり方について考える』を開催しました。
今年度の地域課題探究は、正解のない地域社会の諸課題に対し、現地調査や客観的なデータの分析を行うとともに、当事者や参加者などの様々な人々の思いに触れ、自分なりの考えを構築し、その言語化を図ることを目的として、主に、環境やエネルギーに関わる講座と巡検を企画しました。
講師として、経済産業省東北経済産業局資源エネルギー環境部長の木野正登先生をお招きしました。木野先生は、福島第一原子力発電所事故後、本省より原子力災害現地対策本部に異動となり、異例の14年間の長きにわたって福島の復興のために力を尽くされてきました。講座では、原発事故の様相とエネルギー政策の現状についてわかりやすくご説明いただくとともに、原子力政策をめぐる先生の複雑な思いも語ってくださいました。
この講座への参加を希望した生徒は、1年生14名、2年生10名、3年生4名の計28名。講演終了後には、生徒たちから質問が繰り返され、終わってみれば30分にも及ぶ質疑応答の時間となりました。
木野先生がお帰りになった後も、振り返りのワークショップの中で、講座を通じて感じたことや考えたことを、参加者同士、活発に共有していました。
また、当日は、メディアの取材もあり、生徒たちは自分たちの探究活動が、社会的にも意義のあることであると実感していたようでした。
次回の地域課題探究は、場所を浜通り地方に移して、東京電力福島第一原子力発電所の視察と東日本大震災・原子力災害伝承館を見学し、避難された方の講話を拝聴する予定になっています。
令和7年5月23日(金)5校時目
「文理選択説明会」が行われました。
文型・理型の選択の重要性に加えて、自分の希望進路に応じて適切な科目を選択する必要性に関する説明を受けました。
生徒たちは自分の将来の姿を思い浮かべながら、担任団の説明を真剣に聞いていました。
生徒たちが今後の自分の進路を真剣に考え、希望した進路に進めるように今回の説明会を活かしてほしいです。
4月8日(火)、令和7年度入学式が挙行され、まだ初々しい制服姿の240人を新たに本校の1年生として迎え入れました。
新入生代表が、「先輩方や新たな級友との出会いに緊張と不安を感じつつも大きな希望に胸をふくらませています」と誓いの言葉を述べました。
本校校長の「切磋琢磨しながら学びを深めてほしい」との式辞にもあったように、これからの高校生活で学習や部活動で友人と切磋琢磨し成長した姿で、3年後、本校の校門から240人全員が巣立っていてほしいと願っています。